もっちり、ずっしりとした歯ごたえと、丸くシンプルなかたち。専門店もぞくぞくオープンするなど、もはや私たちの暮らしにも、なじみ深い存在となったベーグル。そのルーツをたどると、ニューヨークに行き当たります。
「ニューヨークにはいろんな国からの入植者がいて、その中にはユダヤ人も多いんですけど、当時の政府が彼らに対して、パンを作って売ってはいけないという取り決めを作ったんですね」と教えてくれたのは、オーナーのブラウン真由美さん。
「そこでユダヤ人は、パンの定義である『イーストを入れて発酵させたもの』でなければいいだろうと、小麦粉を練ってゆでてから焼くという食べものをあみだしたんです。それがベーグルのはじまりだと言われています」
しかし今となっては、ベーグルとうたいつつ、ゆでずに焼くお店もあるといいますが、ここでは、もともとのニューヨークの調理法を忠実に再現しながら、日本らしいこだわりのアレンジを加えています。
「リリー オブ ザ バレー ベーカリー」ならではの、オリジナルなこだわり。それはイーストはもちろん、砂糖やバター、卵などを一切使うことなく、日本原産の天然酵母だけを用いて作られているということ。
「だから、すごく長持ちするんです。冷蔵庫で約2週間くらい保存ができる。震災があった時、とてもよく売れました」ただこれを作るにあたっては、経験とカンが必要とも。「素材の水分量や栄養成分のことまで考えて、そのつど生地の様子を見ながら、粉の配合を変えたりしています。天然酵母というのはとても繊細で、季節や天気、また月の満ち欠けによっても変わるんです」たとえば満月に近い時は発酵がしやすく、また新月近くはしょっぱいものを欲しがるなどといった人の心理にまで考えて調整します。これは「バイオダイナミクス」という考えがもとになっているとか。「パンというのは主食であり、人間のココロとカラダを作るもの。それだけに自然の材料のみで作ったものを食べることで、健康になる。そういう流れを作っていきたいと思ってるんです」。
ブラウンさんがこのような食の思想に触れるようになったのは、10代の頃。アメリカ、イギリス、フランスなど海外生活が長く、そこでココロとカラダをよくする食の文化に触れ、自然な流れで興味を 持ち始めました。
「ただね」とブラウンさんは翻します。
「実はそこが一番大事で、思想や宗教性だとかの難しさを越えて『おいしいから食べる』『食べてるうちに、カラダやココロが元気になる』というのを実感して欲しいんです」
具材の種類も、もちろん一家言あります。「レーズン、クランベリー、ブルーベリー......ドライフルーツはできるだけ野生のものを。あとナッツに関しては、マカデミアナッツもくるみもすべて、ローストしてないものを使ってます。パンなので最終的に焼くんですが、ナッツそのものの栄養素が残る感じを意識して。一番素材そのもののおいしさが感じられるものを、こだわって仕入れています」またプレーンの生地には、ゴマや岩塩をたっぷりトッピングするなどを合わせると、40種類以上のレシピストックがあるそう。太陽のマルシェでは、その中で季節に合わせて、10~14種類ほどが、おめみえするとか。「うちの店ではゴーダチーズ以外は全部ビーガン対応なので、野菜などフレッシュなものをシンプルに挟んで、食感の変化を楽しんだり、朝忙しい方は目玉焼きとレタスをのせて、オープンサンド風にしたり、みなさんなりのくふうを楽しんでください」
[ADDRESS] 東京都渋谷区上原 3-2-3 カーサ上原1F
[TEL] 03-5454-0777
[URL] http://www.lilyofthevalley-bakery.com/
LILY OF THE VALLEY BAKERYマルシェ出店の有 / 無は 下記スケジュールページより
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